カルチャーカフェ

カルチャーカフェは、講師の方のお話を聞いて、それについてみんなでわいわいおしゃべりをするという、そういう集まりです。ちょっとカッコよくいえば、「知のフォーラム」というところ。テーマは、教育・文化・経済・社会など多岐にわたります。

スタートしたのは、2008年春のこと。最初は、指導者も含めて、公文式教室のスタッフが講師をつとめた小さな勉強会でした。それ以来、間遠になったこともありますが、今まで続けてこられたのは、本当にたくさんの方々のご協力・ご支援の賜物です。あらためて御礼申し上げます。

そして、2020年秋からは、オンラインに移行しました。ドイツばかりでなく、日本から、世界各地からご参加いただけるようになりました。

カルチャーカフェのご案内は、このホームページやFacebookイベント、教室掲示板のほか、個別にメールでお送りしています。送付ご希望の方は、culturecafefuchs@gmail.comあて、どうぞお申し込みください。

1月カルチャーカフェのご案内   

    デュッセルドルフソフィア会共催

         蜘蛛の糸きれぎれ光る冬日かな  宋淵

 

コロナ禍で迎える二度目の新年となりました。皆様お元気でお過ごしですか。

ドイツに暮らしていると、社会のさまざまな問題に対して、教会が大きな発言力を持っていることに気付かされます。この国ならではのキリスト教のありかたでしょうか。昨年は、ドイツでは大洪水を経験し、気候変動が社会の一大テーマとなりました。今回のカルチャーカフェでは、その環境問題に対して、教会がどのように考え、行動しているか、ただいまご来独中の木村護郎クリストフ先生からお話をうかがいます。宗教を切り口として、この喫緊の課題について、ぜひご一緒に考えてみましょう。下記の申し込み要領によって、どうぞご参加ください。

 

                                    
1月29日(土) 12:00 (ドイツ時間) 20:00 (日本時間)開始。 Zoomにて開催いたします。

 

講師:   木村 護郎クリストフ (きむら・ごろうくりすとふ)

1974年生まれ。東京外国語大学ドイツ語学科卒業、一橋大学大学院言語社会研究科博士課程修了。現在、上智大学外国語学部ドイツ語学科教授、同大学院国際関係論専攻教員2022年夏まで、在外研究でライプツィヒに滞在中。専門は言語社会学、ドイツ社会研究。日本であまり知られていない、ドイツのキリスト教界の環境問題との向き合い方が近年の重点テーマの一つ。関連の論考に「キリスト教会はなぜ、そしてどのように環境問題に関わろうとするのか:ドイツの事例から」『上智ヨーロッパ研究』8号、「ドイツのエネルギー転換とキリスト教」『上智大学ヨーロッパ研究所叢書』10、「キリスト教と原発―ドイツの事例から」『地球システム・倫理学会会報』7号、共著書に『今こそ原発の廃止を』(カトリック中央協議会)、『原発とキリスト教』(新教出版社)など。

テーマ: 「宗教は『コロナと環境問題』にどう向き合うか~ドイツのキリスト教から考える~」            キリスト教は、人間による自然の支配を正当化したとしてしばしば環境問題の元凶ともみなされてきました。一方で、地球における人間の役割に自覚的な環境思想も育んできました。今回の話では、ドイツにおける環境意識の構成要素としてのキリスト教に注目します。東ドイツの教会からの環境問題の提起が一つの源流ともなった1989/90年の体制転換、脱原発を含むエネルギー転換における教会関係者の役割、環境問題との関連も指摘される目下のコロナ危機への教会の対応といった主題にふれる予定です。教会が、環境問題をどのように捉え、どのような働きを行ってきたかを検討することをとおして、環境問題およびその克服に深く関わる世界観や価値観の問題について考えてみたいと思います。

 

お申し込み方法

22までに、culturecafefuchs@gmail.comあてお申し込みください。参加者には、Zoomの招待リンクをお送りいたします。定員がありますので、お申込みはどうぞお早めに。

お願い:

カルチャーカフェご参加は無料ですが、よろしければ、主催者が活動しているNPO、ひゅうまねっとe.V.にご寄付をいただければ幸いです。収益はベナンの学校建設に使われます。寄付先はこちら:https://humanet1986.org/JP/kihu/ 

お問い合わせ先:  culturecafefuchs@gmail.com   Tel +49 173 5145 476 

 

 

 

12月カルチャーカフェのご案内

                                 

       楠の根をしづかにぬらす時雨かな  蕪村

 

外国に行って、そこで自分の言葉が通じないもどかしさを味わったことが皆様もおありではないでしょうか。まったく質は異なりますが、言葉が奪われるということの小さな疑似体験かもしれません。今回のカルチャーカフェでは、その言葉について皆様とあらためて学んでみたいと思います。講師は、ご自身高次機能障害当事者でもある関啓子さんです。

                                    

 

2021年12月4日(土)

講師:   関 啓子  言語聴覚士(ST)・医学博士

国際基督教大学(ICU)言語学専攻在籍時に失語症者との衝撃的な出会いを経験し、その治療の専門家を志す。5年半の社会人経験を経て19823月当時唯一の国立の養成機関 国リハ学院卒。都立神経科学総合研究所・中村記念病院(札幌市)を経て、1999年神戸大学医学部保健学科助教授。同年第1回言語聴覚士国家試験合格。2002年同大医学部教授。2008年同大大学院保健学研究科教授。20097月脳梗塞(心原性脳塞栓症)発症。20105月同大復職。20113月同大退職。20134月三鷹高次脳機能障害研究所設立。20132014年連続して2冊の闘病記を出版。2020425日【シ・ツ・ゴ】第1回「失語症の日」開催と記念行事講師。20214月オンラインセミナー実施を目的に日本MIT協会設立。現在は研究所への来談者に対する相談業務の傍ら、全国からの招きに応じ講演・啓発・執筆活動を展開中。詳細はWikipedia関啓子(言語聴覚士)。

テーマ: 「ことばを生み出す脳」

社会的動物である人間にとって、言葉はコミュニケーションの道具として大変重要です。皆さん、日々の生活を振り返ってみてください。起床時から就寝時まで、私たちは他者と会話し、手紙や日記を書いたり、本や新聞を読んだりし、時には言葉を使って考えごともします。

 人が会話する際、「話し言葉の鎖」と言われる過程のどこかで何らかの理由により不都合が生じることがありますが、それに対応する職種が私の仕事、「言語聴覚士」です。その対象年齢は新生児から高齢者まで幅広く、対象の障害も多種多彩です。私は、若き日に出会った経緯から失語症治療に対して使命感を持ち、39年間失語症をはじめとする認知機能障害(いわゆる「高次脳機能障害」)の臨床・研究・教育に従事してきました。同時に、私は脳卒中による話しにくさや高次脳機能障害を経験した当事者でありセラピスト(当事者セラピスト)でもあります。

言葉をうまく扱えない状態になった時、その人は何に困るか、どう感じるか想像してみてください。私たちが普段何気なく行っている会話も、読み書きも困難になります。また、数字も言語と同じ記号ですから、計算や数唱も苦手になります。言語獲得後、脳の外傷や脳卒中によって多くの右利きの人の左半球にある言語中枢がダメージを受けた状態が失語症です。このように、失語症は脳機能の低下によって生じますが、私の話はこの「言葉を生み出す脳」に焦点を絞り、私たちが持っている脳とそれが生み出すことばの素晴らしさをともに感じるひとときとしたいと思います。一点事前にご了解いただきたいのですが、これまでの講師の方々とは異なり、私は脳損傷の影響で伝えたい内容を文章にして自由に話せなくなったため、原稿を用意してそれを音読しながらお話しします。また、質問に対する応答も以前のようには瞬時にできなくなりましたので、ご了解ください。難解そうな熟語が並びますが、当日は大脳の構造、脳梁離断症候群、機能局在と側性化、などの学術的現象をわかりやすく解説するとともに、失語症の実際、最新版脳の情報処理正常化に期待して言語聴覚士が行う失語症治療、当事者セラピストとしての感じることばへの思い、さらにはことばとは何か、などを資料とともにお話させていただく予定です。

 

 

10月カルチャーカフェのご案内

 デュッセルドルフソフィア会・ベルギーソフィア会共催   

 

  わがいのち菊にむかひてしづかなる  秋櫻子

 

皆様は、ご自分の死について考えてみたことはありませんか。終活という言葉が最近使われるようになったこともあり、中高年になると、何かこれについて一つ準備をしておこうという方もおられるのではと思います。もし、その時、自分が不治の病を抱えていたらどうでしょうか。医療の発達した今、いくつかの国では患者の生命の自己決定権について積極的に議論が行われています。一方、ドイツにおける安楽死は、ナチスの優生思想による障碍者虐殺の歴史もあって、非常に慎重な姿勢を取っていると言われています。

今回のカルチャーカフェでは、一種タブー視されているこのデリケートな問題に焦点を当てていきたいと思います。ご一緒に、自分ごととしても、この問題を考えていきませんか。講師は、小林真紀さん。日本からオンラインでご登場です。また、ベルギー在住のジャーナリストで、安楽死についても多数執筆している栗田路子さんにも、現場の感じを伝えていただきます。

                                    
2021年10月30日(土)

講師:    小林 真紀  (愛知大学法学部教授)

1993年上智大学法学部国際関係法学科卒業。2000年上智大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学。2002年愛知大学法学部専任講師、以後、准教授をへて2014年より現職。専門は、フランス法、比較法、生命倫理法(とくに、近年は、フランス、ベルギー、ルクセンブルクにおける終末期医療関係法の比較研究をおこなっている)

 

テーマ: 「生命倫理 について考える ― ベルギー安楽死法を通して―」

最近、安楽死に関わるニュースが増えています。日本でも、2019年に、京都在住のALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者が、SNSで知り合った医師に安楽死を依頼していたことが報道され物議を呼びましたが、日本では安楽死にまつわる議論も法整備もなされておらず、これは安楽死の名による殺人行為に他なりません。

他方で、ベネルクス3国他、スイスやアメリカのいくつかの州では、安楽死は法律で認められていますが、厳密にはそれぞれが認めている内容は微妙に異なります。こうした国々で、安楽死の実施件数の増加とともに明らかになってきたのが、当初想定していなかったケースの出現です。たとえばベルギーでは、あるトランスジェンダーの方が、性転換手術を受けたものの術後の状態に満足できず精神的な苦痛を訴えて安楽死しました。このように、安楽死を法律で認めると、グレーゾーンと呼ばれる微妙な事案にどう対処するか、という問題にどうしてもぶつかってしまいます。なかでも難しいのが、精神疾患あるいは認知症患者の安楽死の問題です。ベルギーでは、安楽死が認められる要件のなかに「死が迫っていること」が入っていないため、精神疾患の患者や認知症の患者も安楽死の対象となります。

 

一方、こうした患者については、判断能力の問題などから、安楽死を認めるべきではないという批判もあります。実際に、ベルギーでは、認知症がまだ軽い時期に「将来、認知症が進んだら安楽死させてほしい」という事前の指示書を書いていた人に対して、実際に認知症が進行した時点で安楽死を認めるべきか、議論がなされています。今回は、こうした精神疾患や認知症の患者の安楽死のケースを通じて、安楽死が抱える問題について考えてみたいと思います。

8月カルチャーカフェのご案内

        

       城垣にむかしの匂ひ敗戦日  眸

 

あの戦争からすでに75年が過ぎました。日本では、戦争はすでに遠い過去へと押しやられています。歴史家の検証はほとんど共有されず、反省もないまま、そして責任の所在もあいまいなまま、またしても、同じような社会・歴史事象が繰り返されています。あの戦争被害と同じようなことが今もたくさん起きていて、苦しんでいる人々がいるのに、多くの日本人は、その繰り返しの事実に気が付いていない。この問題を、私達はどのように解決していけるでしょうか。

その一方で、戦争を語り継ぎ、再構成し、私たち自身のものにする取り組みが行われています。戦争を知らない世代が戦争を表現する。時間に抗しつつ、今の私たちにできる試みは何か。今回のカルチャーカフェでは、あの戦争を複合的に考えようと、二人パネリストの方をお招きしました。ご一緒に、「自分ごと」として考えてみませんか。

                              
2021年8月21日(土)

パネリスト: 

三沢亜紀 満蒙開拓平和記念館事務局長

1967年 広島県因島(いんのしま)市(現尾道(おのみち)市)生まれ。

大学生活とOL生活 合わせて8年間を東京で過ごしたのち、結婚とほぼ同時に長野県飯田市に移住。

飯田ケーブルテレビで15年間番組制作にたずさわり、2009年12月より満蒙開拓平和記念館事業準備会の事務局員となる。現在、満蒙開拓平和記念館 事務局長。

満蒙開拓平和記念館 https://www.manmoukinenkan.com/

大川史織 映画『タリナイ』監督/書籍『マーシャル、父の戦場』編者:          

1988年生まれ。ドキュメンタリー映画『タリナイ』(2018)で初監督。編著書に『マーシャル、父の戦場――ある日本兵の日記をめぐる歴史実践』(みずき書林、2018年)。両作品で山本美香記念国際ジャーナリスト賞・奨励賞受賞。編著書に『なぜ戦争をえがくのか――戦争を知らない表現者たちの歴史実践』(みずき書林、2021年)がある。

映画「タリナイ」 https://www.tarinae.com/ 

 

テーマ: 「あの戦争を考える」

三沢:「『満蒙開拓』という歴史が語りかけてくるもの」

かつて日本が中国東北部に打ちたてた「満州国」に農業移民として渡って行った満蒙開拓団。ソ連侵攻後の逃避行、集団自決、難民収容所生活などで27万人のうち8万人が命を落とした。戦後、ほとんど語られてこなかったこの歴史は、戦争や国策が招いた犠牲という側面だけでなく、さまざまな課題を内包し、現代を照射する。個人が背負ってきた記憶を私たち社会の歴史として共有したいと思います。

大川:「映画『タリナイ』が伝える戦争とは」

グアムとハワイの間、太平洋の真ん中に位置するマーシャル諸島は、日本が委任統治をする前、ドイツの保護領でした。統治期間は、それぞれ30年。今もドイツ時代の教会に通い、旧日本軍の火薬庫などで暮らす生活を島の人びとは送っています。当時の名残がさまざまなかたちで残っている島を、わたしたちはどれくらい憶えているのでしょうか。マーシャル諸島から「あの戦争」を考えるときに見えてくるものは何か、満州とのつながりとともに、一緒に考えてみませんか。

 

      6月カルチャーカフェのご案内

        

               花いばら故郷の路に似たるかな  蕪村

 

私事ですが、主宰者は日本の公立中学校の教員を経て、ドイツに来て、ドイツの大学で教育学を学び直し、これほど学校教育・教員養成に日本とドイツの差があるのかと愕然としました。ドイツでは「民主主義の担い手となるために、次世代には何が必要か」という観点から出発し、それこそはコミュニケーションだという確信のもと実践されていくのです。今回、私達は社会と対話しながら「民主主義を学習する」ことを生涯をかけて行うべきだという講師と、「言葉と学び」についてご一緒に考えてみたいと思います。テーマの切り口は、ヘイトスピーチ。コロナ禍で私達の生活がネットにますます依存するようになり、この問題はさらに激化してきました。講師は、ドイツの政治教育にも造詣の深い中川慎二さん。日本からのオンラインによるご登場です。

                              
2021年6月26日(土)

講師:    中川 慎二(なかがわ しんじ)  

関西学院大学経済学部および大学院言語コミュニケーション研究科教授     

専門は、ドイツ語教育、異文化間コミュニケーション、言語教育政策、談話分析、ヘイトスピーチ研究。主な業績は、『民主的シティズンシップの育て方』(ひつじ書房、2019年、第1・8章執筆)、『右翼ポピュリズムに抗する市民性教育』(明石書店、2020年、第1部1章、第2部4章執筆)、『右翼ポピュリズムのディスコース 恐怖をあおる政治はどのようにつくられるのか』(共訳、ルート・ヴォダック著、明石書店、2020年)、『インターネットとヘイトスピーチ』(共編著、明石書店、2021年)など

 

テーマ: 「インターネットにおけるヘイトスピーチとはなにか - 『市民権』についての学びから」

「市民権についての学び」を、インターネットにおけるヘイトスピーチの問題から考えたいと思います。いわゆる「外国籍住民」、外国人労働者、移民、難民はしばしばヘイトスピーチの標的になってきました。日本では2009年ころからヘイトデモ、襲撃事件、ネットでのヘイト攻撃と炎上が繰り返し見られました。その多くは在日コリアンを標的にしたものでした。在特会(=「在日特権を許さない市民の会」)は「在日特権」があるかのような「陰謀論」(Verschwörungs-theorie)を捏造し、街頭でデマをばらまきました。その際に議論されたのが「表現の自由」と「法規制」の問題です。それに対しては、ドイツでも日本でも法規制を推進するための立法化が行われました(「ヘイトスピーチ解消法」、NetzDGなど)。これらの事例を見ながら、「侵害された市民権」についての学びから、言語教育の目的は「シティズンシップ」(=市民であるための要件)であり、それは市民権として尊重されねばならないものであることをともに考えましょう。

 

      5月カルチャーカフェのご案内

                

               まひまひや雨後の円光とりもどし  茅舎

 

コロナ禍で明らかになったこと、それは科学文明を謳歌し、自らの欲望のままに生きていた人間が、実はこの大自然の中でまったく無力な存在だと分ったことではないでしょうか。目にも見えないヴィールスに、簡単にやられてしまう人間も、実はこの生物多様性の中に、one of themとして暮らしています。さてそこで、今回カルチャーカフェは、今まで一度も扱ったことのない生物学がテーマです。それも、研究対象は寄生虫! ご一緒に、あらためてこの虫目線から、世界をのぞいてみませんか。講師は、なんとご自分でも寄生虫を飼っていたという、記野秀人さん。日本からのオンラインによるご登場です。

     

                              
2021年5月22日(土)

講師:    記野 秀人  

1950年岐阜県大垣市生まれ。東京都立大学理学部生物学科卒業。理学博士。浜松医科大学医学部寄生虫学講座(現ウイルス・寄生虫学講座)に39年間在籍。専門領域は寄生虫生態学、発展途上国における寄生虫感染の疫学。

 

 

テーマ: 「寄生虫の生活と生存戦略」

第二次世界大戦後、多くの日本人にとって寄生虫は困ったものであると同時になじみ深い存在でもありました。何しろ8割もの人が何らかの寄生虫に感染していたのです。その寄生虫が今では医者ですら多くが見たことがないほどに激減した背景には、寄生虫の生活環を知り、その上で集団検査・集団駆虫という適切な対策をとった社会活動がありました。敵を知ることは感染症対策の基本なのです。そこでまず寄生虫の世界を概観することにしましょう。

次いで寄生虫の生活と生存戦略を考えてみます。寄生という生活様式は他の自由生活性の生活様式に比べ複雑かつ多様です。なぜこんな面倒な生活を送るのか、ご苦労な話だと思ってしまいます。しかしそれぞれは「如何に子孫を多く残すか」という生物の根本的命題に根ざした生存戦略の賜物なのです。

最後に人間社会と寄生虫感染の関わりについて若干の実例を見ながら現在われわれを煩わせているCOVID-19の流行にも思いを馳せてみたいと思います。

 

2月カルチャーカフェのご案内

          デュッセルドルフソフィア会共催    

           

        はるかなる地上を駆けぬ猫の恋 波郷

 

海外に暮らしていると、さまざまな折に、今まで自明だと思っていた自分の考え、感性が、居住地でまったく通用しないことに気づかされます。そこで初めて、では、その自分のもとになっているルーツは何なのか、探ってみたい気持ちにかられます。今回のカルチャーカフェ、その切り口は男・女の関係性。社会によってすりこまれた私たちの後ろに控えている宗教、歴史、ご一緒にのぞいてみませんか。講師は、ドイツで研究生活を送られ、長い間、宗教間対話にかかわってこられた岡野治子清泉女子大学名誉教授、日本からのご登場です。


2021年2月27日(土)

 

講師:    岡野 治子  

1941年東京生まれ。上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。広島大学教授、清泉女子大学学長を経て、現在清泉女子大学名誉教授。専門領域は、比較宗教学、社会倫理学、フェミニスト神学。フランクフルト大学、ザルツブルク大学、ティルブルク大学客員教授として、宗教間・異文化間対話の講義・ゼミを担当。

主な著書に、『宗教のなかの女性史』、『日本女性史・中世篇』、『希望の倫理』、『日本文化におけるキリスト教神学の意味』(独文)、『「和」の原理の功罪』(独文)など。また『女性の視点による神学事典』の共著、共翻訳、共編集に携わる。日本の諸宗教とキリスト教文化との間を往来しながら、人間観、家族観、社会倫理をジェンダーの視点で再考している。

 

テーマ: 「男・女の関係性- 東洋と西洋の歴史でどのように展開したか −」

フェミニズムが問題視した男尊女卑の思想は、洋の東西を問わず、よく似た社会現象を創出しました。しかしその原点となっているアンバランスな男性観・女性観はいずれも歴史的経緯のなかで、宗教思想と微妙に絡みながら形成されたもので、当然ながら、宗教圏によって異なっています。従って、フェミニズムが求める女性解放のための解答も、欧米と日本では、必ずしも同じではないのです。 

そこでこの講座では、人間とは何か、男と女という性の違いは、本来どういう意味を持ったのか、まずその起源を辿ってみましょう。歴史の進展のなかで、家父長制が台頭すると、二元的な価値観が優先され、単なる性差が、性差別に転換するのです。そのような価値観は、家族観、倫理観、社会観にも影響を与えます。当然、東と西では、異なった様相を呈します。

日本の宗教文化に通底している「和」は、人と人を結びつける原理として、1500年の長きにわたり、日本人に親しまれてきました。夫婦間、家族間、また社会の「和」が理想とされてきた一方、個々の人間の自由と人権、妻や子どもの人権・尊厳に対する意識が薄弱でした。キリスト教文化圏の欧米では、個々人に「和」・「間柄」よりも、「自立」・「自律」が要請されてきたように、対照性が見られます。このような徳目の相違に着目しながら、より良い男女の関係性、家族の関係性を模索したいと思います。

 

 1月カルチャーカフェのご案内

         

         風花の華やかに舞ひ町淋し たかし

 

コロナ禍の新年、皆様いかがお過ごしでしょうか。ドイツにいると、あまり年賀状を目にすることがありませんが、それでも今年日本から来た年賀はがきには、たくさんアマビエのモティーフが飛び交っていました。最初はいったい何だろうと思ったものです。さて、今回のカルチャーカフェは、そのアマビエ現象を切り口として、背後にある日本文化にみられる怪異現象・妖怪などについてお話をうかがいます。昔話によく出てくる鬼は、私たちにとってなじみの深いものですが、それはドイツやヨーロッパのメルヘンとどのように違うのでしょうか。講師は、妖怪研究の第一人者、小松和彦さん、日本からのご登場です。ご一緒に、私たちの心のルーツを考えてみませんか。

 

                                    
2021年1月30日(土)

 

講師:    小松 和彦 

1947年、東京都生まれ。国際日本文化研究センター名誉教授。京都先端科学大学特別招聘客員教授。日本の妖怪文化や異界観、陰陽道研究のパイオニア。「怪異妖怪伝承」「怪異妖怪画像」の二つのデータベースの制作者。主な著書に、『妖怪学新考』『妖怪文化入門』『鬼と日本人』『異界と日本人』『神になった日本人』『異人論』など多数。

 

テーマ: 「日本の怪異・妖怪文化を考える―現代アマビエ騒動を手がかりに―」

昨年来、世界中が新型コロナ・ウイルスに攻撃され、これまで経験したことがない事態に追い込まれました。日本もその渦中にありますが、そんな中で、昨年の上半期には「アマビエ」という幻獣が注目を浴び、社会現象というまでになり、後半からは、吾峠呼世晴による鬼退治をテーマにした漫画『鬼滅の刃』およびそのアニメが大評判になっています。劇場版アニメはすでに、これまでの興行成績トップの『千と千尋の神隠し』を抜いたそうです。いずれも妖怪の仲間ですが、この講演では「アマビエ」とは何か、なぜ人びとの関心を引きつけたのか、妖怪の歴史の中にいかに位置づけられるのかといったことをお話してみましょう。

 

11月カルチャーカフェのご案内

                    

もの学ぶ冷たき頭つめたき手 青畝

 

コロナ禍で、世界は一変しました。しかし、実は変わっていないばかりか、いっそうそれに拍車がかかったという一面があります。その一つはジェンダー問題。今回、このアクチュアルなテーマについて、日本を代表するフェミニズム研究者、上野千鶴子さんを囲んでご一緒に考えてみませんか。

今回は、カルチャーカフェ初めてのオンライン開催です。上野さんは日本からの登場! 

 

 

                                    
2020年11月14日(土)

 

講師:    上野 千鶴子  

1948年、富山県生まれ。東京大学名誉教授、NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。 女性学、ジェンダー研究のパイオニア。 近年は、老い、福祉、ケアに専門領域を広げている。『家父長制と資本制』『スカートの下の劇場』『近代家族の成立と終焉』『生き延びるための思想』『おひとりさまの老後』『身の下相談にお答えします』『戦争と性暴力の比較史へ向けて(編著)』など著書多数。

 

テーマ: 「コロナ禍とジェンダー」

講演動画https://www.youtube.com/watch?v=JxVahrKYfCA&feature=youtu.be

非常時には平時の矛盾が拡大・増幅してあらわれます。コロナ禍をジェンダー視点から見ると、どのようなことが言えるでしょうか。休校によるこどものケアや家事負担、非正規雇用の解雇、シングルマザーの直面している苛酷な状況、DVによる虐待など、今までの問題が女性のうえに大きくのしかかってきました。その一方で、コロナ禍をめぐる政治の状況では、女性リーダーによる対策が世界的に見て成功していると言われます。

 何人か参加者の方々からドイツの状況についても報告していただき、日本と比較しながら、コロナ禍と女性について、ご一緒にお話をしていきましょう。